高知県立牧野植物園 15回ラン展の制作秘話
ラン展は例年、開催が2月上旬〜下旬で、
初回打合せは前年の11月上旬頃に行われます。
打ち合わせの場で、初めてその年のテーマを聞きます。
今回のテーマは、
「ラン展〜旅するラン展〜アフリカ、東南アジア、中南米」
というものでした。
アフリカ、東南アジア、中南米に咲く3地域の貴重なランを集め、
まるで現地に旅をしたかのような展示を考えているとのことでした。
ただし、展示の細かな内容については、
初回打ち合わせの時点ではいつも決まっていません。
ですが、私はできるかぎり初回打ち合わせ時にラフを描き、
その場で広告の方向性を決定する方針のため、
ラフを描こうと悩みはじめます。
旅、アフリカ、中南米、、、
さて、どうしたものか。
沈黙2〜3分、、、。
ランといえはマレーシアなどの
「東南アジア」のイメージが強かったのですが、
今回は「アフリカ」と「中南米」もターゲットになっていました。
「アフリカのラン」はこれまでに無いし、
面白そうだな〜と感じたため、
アフリカらしさを伝えるものはないかと模索していると、
担当の方が資料としてテキスタイルをいくつか上げられていたのを見て、
アフリカのテキスタイルはどんなものがあるのかと調べてみたところ、
今回、チラシの周囲に巡らせたビビッドな柄がヒットしたため、
これだ!思いました。
ただし、画像はそのまま使用するわけにはいかないため、
あらたに書き起こし直し、使用することにしました。
▲アフリカのテキスタイル
ここで、ラフを描き始めます。
▲打ち合わせ時のラフ(題字は後日描いたもの)
この段階では、「アフリカ」「中南米」「東南アジア」の
3地域それぞれのテキスタイルを背景に使用する案なども出てきていますが、
これは、ごちゃごちゃしてわかりづらくなるだろうと、却下。
また、旅で撮影したたくさんの写真を並べた雰囲気なども検討しましたが、
これも「旅行感のある写真を用意するのは不可能では」との認識から却下。
▲それで、地球を真ん中に置いて、ロゴと組み合わせた上で、
3地域のランの切り抜きを散りばめた案でいきましょう!
となり、植物園広報部に持ち帰っていただきました。
僕の中では、このテキスタイルを使うと決まった時点で、
コンセプトが「エキゾチック」だと判断し、
同様のコンセプトのデザインものを参考にしながら、
案を固めていきました。
渡したラフは、広報部で採用され、
方向性が固まり、最初に出した案がこれです。
▲初校案(タイトル文字が大きい)
ほぼ、最終段階のものに近いのですが、
タイトルがめちゃくちゃ大きいですね。
従来のラン展とは違った雰囲気にしたかったため、
これぐらい大胆に攻めてみましたが、、、ダメでした。
「題字はもうすこし上品な大きさに」
とのご指摘で、
いまのサイズになりました。
完成形▼
タイトルについても
「15回 ラン展〜旅するラン展〜アフリカ、東南アジア、中南米」
という名称が今回の正式名称だったのですが、
「旅」というテーマを伝えるためには、
「旅するラン展」だけに絞った方が良いと考え、
このスタイルになっています。